マウスピースによる矯正治療では、ワイヤーによる矯正治療よりも患者さんが感じる痛みが少ないと言われています。
矯正中に感じる痛みとは大きくわけて、「歯が動く痛み」と「矯正装置が口の中に当たる痛み」のふたつがあります。
ワイヤー矯正に比べて、マウスピースではそのどちらの痛みも緩和されています。また、症状によっては歯並びが原因で出る痛みもありますが、マウスピースは装着することでその問題にも対応できます。
冒頭でも述べた通り、矯正中に感じる痛みは原因別でいくつかに分けることができます。以下ではその痛みについて述べていきます。
矯正治療では、使用する矯正装置がどのようなものであれ、歯を動かしていく際の原理は変わりません。
歯に人為的な力を加えていくことで、歯槽部(歯が固定されている部分)に変化を与えていきます。矯正装置を付けてすぐの時期や矯正装置の調整を行った後にはこの痛みが出ますが、しばらくするとほとんど痛くなくなります。
表側ワイヤー矯正では、ブラケットやワイヤを歯の表面に設置していきます。そのため、装置が常に頬の裏側や唇にあたって切ってしまったり、絶えず口内炎ができたり…と口腔内の傷が絶えない方もいます。薬による対処や慣れによってこの痛みも軽減はされていますが、辛いことは確かです。
矯正のため歯をうごかしていくことはマウスピース型矯正も他の矯正方法と変わりませんが、その動かし方のおかげで痛みが軽減されています。マウスピースはおよそ2週間に1回新しいものに交換しますが、この際に歯を動かす距離はわずか0.25mmです。これらのマウスピースはコンピュータ上での正確なシミュレーションをもとに作られており、最小限の動きで理想の歯並びが実現できます。1回ごとの動きが少ないために、歯の移動に伴う痛みも少ないのです。
マウスピース型矯正のマウスピースをご覧になると分かりますが、マウスピースは薄いプラスチック製で歯を滑らかに覆うようにできています。金属のブラケットやワイヤは口腔内を傷つける恐れがありましたが、マウスピースではその心配がほとんどありません。そのため、矯正中の大きな痛みのひとつであるお口の中の傷や口内炎の痛みは、マウスピースによる矯正治療では解決されていると考えていいでしょう。
・マウスピース型矯正は完成薬機法対象外の矯正装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。